最新の設計理論による高品質の鍛造ホイール。その背景には、独自の鍛造工法と妥協を許さない製造工程があります。レイズエンジニアリングのアフター向け鍛造ホイールは、八尾工場で「素形材鍛造」を終えた後、奈良第1工場との連携で、世界唯一の「RM8000 回転鍛造」によって、詳細な造形鍛造とリム部のフォーミングを実施し、再び、八尾工場で仕上げ工程へと移行していきます。それは、多彩なデザインと多様なサイズを実現するために、どうしても必要な手間と時間。ワンオフでレーシングモデルを創るノウハウがここに活かされています。レースで培われた高性能ホイールを、より多くのユーザーに楽しんでいただきたい。世界のあらゆる車種に対応する、グローバル基準の鍛造ホイールでありたい。その熱い想いが、多品種少ロット生産を追求する私たちの原動力といえるのです。
また、自動車メーカーが求める要求事項の高い条件で鍛造ホイールを提供するため、レイズエンジニアリングでは、奈良第2工場において国内最大級の「10,000t」鍛造プレス機を独創的なシステムで稼働させ、「RM8000 回転鍛造機」などの独自に自社で開発された機器を使い、あらゆる造形性、またSUVなどで求められる大口径化の高品質・高性能な鍛造ホイールを安定的かつ迅速に生産するためのファクトリーオートメーションから理想を追求しています。こうして製造される強く、軽く、大きく、デザイン性に優れた鍛造ホイールは、その高性能が評価され、日産GT-R、ポルシェ911GT3Rといった世界最高峰のロードスポーツモデルにも純正採用。体感できる機能パーツとして、操縦安定性の向上に寄与しています。
レーシングモデルから始まった独自の「デザイン成型金型鍛造工法」を、アフターマーケットモデルにまで貫くレイズエンジニアリング。素材は、この工法のために特別にチューニングされたプレミアムブレンドA6061を使用。このアルミビレットを用い、高圧のプレス機で2度、3度と鍛造し、デザイン面を造形します。一般的な鍛造工法はデザイン部を削り出し加工を行うのに対し、鍛造ホイールの生命線ともいえる「鍛流線」をホイールの隅々まで途切れることなく行き渡らせ、強靭で軽量なホイールを実現します。また、金型を交換することで多彩なデザインも可能にします。
単にビレットを加圧しただけでは鍛流線は放射状に形成されます。ホイールに鍛造本来のねばり強さを与えるには、鍛流線は外部からの衝撃に対して垂直方向に切れ目なく、かつ高密度に流れていなければなりません。独自のシステムで稼働する最大加圧力10,000t鍛造プレス機は、鍛流線の流れる方向を正確にコントロール。ホイールデザインに沿った鍛流線を形成させながら、スピーディーかつ安定的に生産することができます。
レイズエンジニアリングでは、ビレットを最大4段階の金型鍛造によってホイールの形に成型します。最後の鍛造工程は、金型を回転させながらデザイン造形部の仕上げ鍛造と、同時にリム部をスピニング成型する独自の工法“RM回転鍛造”を採用。金型のデザイン自由度が増すとともに、上質な鍛流線を形成します。しかも工程の短縮にも貢献。時代が求める大口径の鍛造ホイールを量産可能にする革新的な鍛造工法、それがRM回転鍛造です。
鍛造ホイールの仕上げの美しさは、高性能を視覚化するために欠かせない要素。そんな考えから⼋尾⼯場、奈良⼯場共に、クリーンルーム並にホコリをシャットアウトした部屋で、ロボットによる塗装を行います。さらに、応力のかからない部位を見つけ出して削り取るマシニング加工を実施。レースの世界で要求されるこの技術を市販ホイールにも採用しています。スポークサイドの僅かな隙間に存在する余裕を削り飛ばし、強さと剛性をキープしたまま軽量化。これによりスポークサイドにも躍動感のあるデザインが生まれ、機能美をも表現することが可能になりました。
ホイールは、成型、加工、塗装などの工程を経て完成します。 各工程においては、製品に対して良・不良の基準が設けられていますが、たとえ良品と判断された製品であったとしても、すべてのホイールは出荷される前に、最終検査として、熟練した検査員によって念入りにチェックされます。そして合格したホイールは、検査員が責任の証として検印し、自らの手でひとつひとつ丁寧に梱包。ようやく市場へと出荷されます。 異例なまでに手間と時間を注いで作られる、レイズエンジニアリングの鍛造ホイール。 製品検査はその品質の高さを極めるための総仕上げといえる重要なポジションなのです。
オンリーワンのオリジナリティを追求したものづくりをめざすレイズエンジニアリング。それを叶えるためならば、製品を製造する機械さえも独自に開発し、作ってしまうという徹底ぶりを発揮しています。鍛造をはじめとする製造機械、意匠技術や加色技術を実現するための加工機械など、機械の設計開発はもちろんのこと、製造ラインにいたるまで自社設計を実践しています。そこには、生産性を高めるという視点よりも、いかに安全で効率よく製品作りに打ち込めるか、職人たちに対する思いやりが込められているのです。